〒998-0063 山形県酒田市南新町1-4-32
TEL 0234-22-1713
営業時間 平日9:00~18:00
日吉町のひさごと港座
2025年09月30日
先日、鶴岡にある「すたんど割烹みなぐち」さんで、豚の角煮をいただきました。口に運んだ瞬間、「うまい」と何度も口をついて出るほどの味わい。とろけるような柔らかさ、味の深み。そんなひとときを過ごしていると、ふと、子供の頃の記憶が蘇ってきました。

場所は酒田、日吉町の「ひさご」さん。小学校・中学校と剣道に打ち込んだ仲間のご両親が営んでいたお店です。何度かお邪魔し、特別な集まりの時、豚の角煮を頂いたことが記憶に残っています。
あの頃、仲間たちと竹刀を交えた日々。汗だくで稽古したこと。練習終わりには遊びに歩き皆で色々と食事したこと。冬の道場はめちゃめちゃ寒かったこと。角煮の味とともに、当時の情景が一気に胸に広がっていきました。あとひさごさんのカレーライスがほんと美味しかったんです。

数週間後、また日吉町へ足を運ぶ機会がありました。訪れたのは「港座大劇場」。『もうひとつの世界一の映画館』というストーリーをテーマにした朗読ライブ&トークショーが行われ、その舞台となったのがこの劇場でした。

「港座」は、自分にとっても思い出深い場所のひとつ。中学生くらいまで、家族や友人とよく映画を観に行ったものでした。スクリーンに夢中になったあの時間、映画館特有の匂いや空気感は、今でも心の中にしっかりと残っています。
そして、港座のすぐ近くには、あの「ひさご」さんがあったのです。偶然とは思えない、何かに引き寄せられたような感覚。子供の頃の記憶、美味しかった角煮、剣道に励んだ仲間たち、港座で観た数々の映画、そして再び訪れた思い出の町。時を越えて、不思議といろんなものが繋がったような気がしました。こういう、ふとした瞬間に訪れる「小さな奇跡」って、普段は気づかないけど、実はすごく大事なことを教えてくれてるのかもしれませんね。
男鹿市で学んだ「職人の誇り」とAI時代の生き方
2025年09月23日
9月21日(日)、尊敬する染職人さんの講演を聞くために、酒田から男鹿市まで車で片道3時間の道のりを走りました。正直、移動は少し疲れましたが、久しぶりにお会いできた喜びと、直接お話を伺える貴重な機会に充実した休日であったと思いました。
講演では、「職人」について深く考えさせられるお話がありました。印象に残ったのは、「ものはものとして存在するだけでなく、職人の手によって作り上げられ、何度でも生まれ変わることができる」と仰っていたところです。日本文化に深く根ざした思想であり、非常に尊く美しいと思いました。リサイクルや再利用といった概念と通じる気がします。

またこうも仰ってました。「AIが人間を超える時代になり、今のままでは職人は無くなるかもしれません。しかしAIをうまく使い、人のために役立つもの、喜んでいただけるものを、その時々の状況に合わせて、職人であることの誇りをもって作っていくことが大切であると」変化に柔軟に対応する力とその両方がこれからの時代に求められるのだと思いを新たにしました。

帰り道、男鹿市と潟上市の道の駅に立ち寄りました。そこでも気づきがありました。どの施設も「その土地ならでは」の食べ物や文化、体験をしっかり打ち出しているということです。観光客だけでなく地元の方にも愛される取り組みが、地域の魅力を支えているのだと改めて感じました。
染物屋として私も、酒田や山形ならではの文化や歴史を活かしたものづくりを続けたい。お客様に喜んでいただける製品を、ひとつひとつ誇りをもってお届けしたい。そんな想いが一層強くなった一日でした。
2年ぶりの酒田の夜に咲いた大輪の花
2025年09月14日
2年ぶりに開催された酒田市の花火大会。当日は朝からぐずついた天気で、不安な気持ちでおりましたが、夕方から晴れ、打ち上げの時間になると空は晴れ渡り、夜空には色とりどりの花火が咲き誇り彩ってくれました。

開催が待ち望まれていたこのイベントに、当方も手ぬぐいの制作という形で携わらせて頂き大変光栄に感じております。フィナーレの花火は、まさに感動そのものでした。想像をはるかに超える美しさと彩りが夜空を包み込みました。ずっとこの光景を見ていたい、そう思いたくなるほどの迫力と美しさに、感動しました。

花火が終わると、ふとした寂しさが残ります。今は、創業100年の素晴らしい思い出として胸に刻み、明日からまた気持ちを新たに仕事に励んでいこうと思います。
大会実行委員会の皆様、関係者の皆様、本当にお世話になりありがとうございました。また来年も、皆様の笑顔と花火に出会えることを心より願っております。

「酒田の花火手ぬぐい」仕様
・サイズ:w100㎝×h35㎝・生地:岡晒・製作技法:注染(ちゅせん)
あっという間に8月が終わりました
2025年09月01日
暑い暑い8月も、あっという間に過ぎていきました。8月は一度もブログを更新できませんでした。それなりに忙しかったのかもしれません。

8月初旬、家族4人でねぶた祭りへ出かけ、北村麻子さんのねぶたを間近で見ることができて大感動(画像は北村さんのねぶたではありませんが) 子どもたちと一緒にこうして出かけられる時間も、あとどれくらいあるのかな…と考えると、今を大切にしたいなと思いました。

お盆前は親戚家族4人で染め体験に来てくれました。お子さん2人が大人用の工場で道具を使って一生懸命頑張る姿と時折見せる小競り合いがとても微笑ましかったです。あの真剣な表情を見てると、こちらまで嬉しくなりました。

また縁日祭りに出店。真夏の暑さに汗だくになりながらも、夏らしさをしっかり味わえました。試しに携帯入れポーチを販売してみましたが、残念ながら売れず…でも挑戦してみることに意味がある、そしてブラッシュアップが必要と女将と一緒に納得したのであります。

13日から17日まではお盆休み。染めの仕事はお休みしましたが、9月に控えた業務用食品展示会の準備、主にチラシ作成をしながらも、のんびりと過ごしました。16日にはモッシェドさんから取材頂いた 斎染のことがアップされたので皆さんご覧になって下さい。創業100年を飾るにぴったりの内容となっております。

そして休み明けから再び仕事をスタート。まだまだ暑さが続き、体力的にしんどい日もありますが、「もう少しで涼しくなるはず」と希望を毎日持ちながら9月を迎えたのでありました。そんな中、小学校6年生の男子からも取材をして頂きました。詳細は後日改めてご報告します。

来年は工場にエアコン導入かな?なんか補助金ないかな? 相変わらずとりとめないブログでございますが、皆様9月もよろしくお願いします。
鶴岡の神社カフェ「かたばみ」さん
2025年07月29日
7月7日にオープンした鶴岡の神社カフェかたばみさんののれんは斎染で染めたものです。お世話になりありがとうございました。

オープンして3週間、のれんの様子を見に行きながら、甘酒ラテとかたばみ最中を頂いてきました。

店内はかつての雰囲気を大切にしながら、現代の感性に寄り添った心地よい空間が広がっていました。

のれんのデザインは施主様 とデザイナー様 ご発案によるもので、私には思いつかないような発想に多くの学びをいただきました。

過去に納めた紋のれんは家紋は大きく「どーん」という感じで染めるのが多かったですが、この度はデザイン性に富み、遊び心が感じられる小さく控え目な「ちょこん」とめんごく置かれた紋が印象的です。
また色の調合は難しかったですが、のれんの竿を通すチチがのれん本体とは別色ってとてもおしゃれです。

その想いをできる限り忠実に表現できたことを、作り手として嬉しく、またありがたく思っております。

画像は納品時に荘内神社、禰宜の石原和香子さんとの記念撮影です。
このような貴重な機会をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。